フランス思想の「難解さ」

http://www.openculture.com/2013/07/jean_searle_on_foucault_and_the_obscurantism_in_french_philosophy.html
ジョン・サールによるフーコーの思い出」
わたしはフーコーの講義と会話の明晰さと書くものの晦渋さのコントラストを
不思議に思っていました。そこである日(・・・)昼食をとっていた時、単刀
直入にたずねました。「ミシェル、何で君はあんなに難解な書き方をするのかね。」
これに答えて彼が言ったことは極めて示唆的であるように思います。「私がもし、
君と同じように明晰に書いたら、パリの連中は私を本気に受け止めないだろうよ。
私の書くものを子供っぽい、おめでたいとかんがえるだろうよ。」「フランスでは
少なくとも10%、理解不可能な部分がなければならないんだ。
・・・・
のちにコレージュ・ド・フランスに招聘された機会に、ピエールブルジューにその話を
しました。フーコーと交わした会話を伝えたのです。ピエールはすぐに話に乗ってきました。
ほぼこう言いました。フランスではある本が真剣に受け止められるためには、10%では
だめで、少なくともその2倍、20%は、理解不可能な部分がなければ、と。

加藤晴久 「ブルジュー闘う知識人」講談社選書メチェ2015年P155