学者の妻が表に出る時

羽入辰郎「学問論」の中で、氏の奥様が何度か氏の学問の重要な転換期に登場することを揶揄するものがいる。学問論の中で家族を登場させたりするな、ということであろうが、この本自体は羽入氏が人生をかけて学問に取り組んできたことを書いている物であるからして、興味のない読者にはおもしろくないだろうが、羽入氏に興味のある小生にはいやな記述ではなかった。
 読者の立場からは、買いやすさの面からも、折原浩への学問的回答とそれ以外のゴシップ満載の部分とを分けて出版すべきだったかと思うが、社会科学系学者の論文に、配偶者が登場するので小生の近辺で話題になったものとして、以下の連載がある。
貿易と関税2009年4月号
【ボーダーレス・エコノミーへの法的視座・214】
国際課税と牴触法(国際私法)(中−43)
(石黒一憲)
 東大法学部の石黒教授が、テレコム問題とか、国際的な規制がいかに自国に影響を与えるか、警鐘を鳴らしておられる連載であるが、214回にもなっているのにあらためて驚いた。この連載のなかで何度か、氏の奥様が登場したことがあって、あまり自分の配偶者を表に出さない日本の風土から、小生のまわりでは「きっとこのご婦人は外国人」といっているものがいた。