2008-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「日本語が亡びるとき」はくるか。

英語の「普遍性」を語るあまり、現に我々がその言語をもって生きている日本語に対してこれほど悲観的になるのが全く理解できない。水村は日本語の、近代日本文学の牙城として何を想定しているのか、本当に守るべきまたは参照すべき日本近代文学とは何か。 鴎…

「レンコン」

性の文化史は、テーマは学問としてやろうとしても、素材が乏しく実証しにくいため、なかなか難しい。 井上章一ならばの追及であるが、参加した若手学者への周囲の眼は温かいものではないようだ。 まえがきに「学会のキャリアアップには、必ずしもつながらな…

村上春樹は

以下はミヨシ・マサオ「抵抗の場へ」p288 「僕自身は村上はつまらない余興家だと思っています。彼は本当に、全く使い捨て可能な作家です。 村上と僕はプリンストンで二時間におよぶ公開討論をしました。僕は「あなたは何も言うことがないのか。 あなたの言っ…

レヴィ・ストロース100歳

28日はクロード・レヴィ・ストロースの100歳の誕生日。 港千尋「レヴィ=ストロースの庭」にブルゴーニュにある彼の別荘を訪問した際の写真があり、その中に書棚を撮影した ものが1枚だけある。プチ・ロベールが並んでいるのはともかく、Bordasの百科事典…

読む人間

読む人間(大江健三郎)読書講義2007年7月初版。2006年後半に池袋ジュンク堂での7回の講演とサイード「晩年のスタイル」のついての講演。 そういえばジュンク堂の講演はすぐ予約満員になっていた。大江さんのは小説よりもこういう本についての講演の方がおも…

様々なるアカハラ

昨日の麻生首相の「医者は非常識な人が多い」発言もすごかったが、学者世界もなかなか大変な世界らしい。指導教官との折り合いがわるかったり、その教授の人格自体が問題あったりすると弟子や周囲の人間がひどい目にあうという世界。 ■折原浩ケース 師匠と弟…

政治家の読書

普通の政治家がどんな本を読んでいるのか、あまり興味もないが・・・。麻生首相が秋葉原だけではまずいとアドバイスする人が いたのか、八重洲ブックセンターにマスコミを引き連れて登場。(11月11日毎日新聞) やはり近いという意味でもこの書店になるのだ…

全集の値段

神田神保町の古本街を歩いていると文学全集や講座ものの値段が恐ろしく安いのに驚く。前の昭和49年の岩波版漱石全集は7000円で、鴎外全集は2万円、選集は8000円、志賀直哉4000円である。それでも売れないらしい。何分場所を取るので、置き場所がなくなっ…

誤訳・悪訳・

大橋洋一先生が悪訳の例をあげている。 その1.フロイトと非ヨーロッパ人 訳者:長原豊 http://d.hatena.ne.jp/rento/20061028 この訳者と鵜飼氏との関係も微妙なんですね。確かに読みにくい日本語だと思ったが。 その2.R.ロバートソンの『グローバリゼー…

ゲルギエフにおける政治と音楽

8月21日にグルジアーロシア紛争がおきた際にさっそくロシア側の意図を汲んで官製支援コンサートを行ったゲルギエフである。一方的にロシアだけを批判する西側報道にも気をつけなければいけないが、愛国者ぶりを発揮する音楽家もあやしい。やっぱりプーチン…

大統領候補の好きな本

CBSの夕方ニュースのKate Couricのインタビューでオバマとマッケイン両候補のFavorite Book を聞いている。 オバマは最初に「私を作った聖書」、それからトニー・モリソンの「ソロモンの雅歌」。加えてシェークスピアのハムレットやリア等の悲劇だという…