岩波文庫をあさる青春

正午田村書店岩波文庫ばかり。学生が買いあさっていたが、確かに100円でそれなりの
岩波文庫が手に入る古本屋なんてそうはない。自分の30年前の幻影を見たような気がした。
私もまたあなたのように岩波文庫を次から次へと読んだ学生だったのですよ。せいぜい集めて
眼を通して欲しい。私が学生時代だったら、やはり喜びいさんで買い集めただろう。50年生きてきて、達成したのは新本の岩波文庫を買える事になったことぐらいか。
 情けないといえば情けないが、もちろんいやな気はしない。
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坂部恵さんが死去。確かに和辻哲郎ごときに引きずられすぎたなあ。著作集が出たのでご本人も
満足だったかもしれないが、西洋の思想史をやってそれからどういうテーマをやっていくのかが
難しいところ。徹底的にカントにこだわってカントを解体するほうがよかったのでは。
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黒田恭一さん死去
 かつての暮らしの手帳の連載を楽しみにしていた時期があった。こんないい音盤があるのだと
教えてくれる友達のような。ベートヴェンだって、バッハだって、ピアソラだって、いいものはいいのだ、好きだからという気持ちが伝わってくる文章だった。吉田秀和の後継とはおもわなかったが、そして片山杜秀がそのの役を担えるとは思わないが、ポピュラライザーというのは必要だ。
いま、突然思い出したが、林達夫の書簡集のなかに、吉田秀和マーラーをわかっていないという
かなり厳しい批判めいた文章があったことを思い出したが、あれは何でそんなに怒っていたの
だろうか。謎である。吉田秀和に、堀江敏幸あたりがきいてくれるとうれしいのだが。
知っている人いますか。