モンテーニュ研究所

8月号のVoiceにジャック・アタリのインタヴューが載っているが、その中で
フランスでは原発の優位性についての検討の論議は決着がついており、反対派も少ないと
いっている。日本人にはどのような議論がなされているのか、きわめてわかりにくく、
日本のメディアも80%も原発に依存している先進国の事情をほとんど紹介しない。
 フランス現代思想なんぞ、よくわからりもしないくせに翻訳する海外思想輸入
業者はわんさかと大学にいるのにこのような大問題について解説できる日本人が
出てこない。
 土曜日の夜のNHK原発問題討論番組で、原発推進派の北海道大学の奈良林とか
いう先生が、フランスでも電力不足で数年前に熱中症で死者が大量に出た、と
いう例を出していたが、そもそも原発が川の渇水で運転できなくなるような
不安定なものであるということが問題であるのに、電力不足の影響として引き出すのが
おかしいのだ。だいたいフランスの一般家庭にはクーラーなどというものがない
社会なのであって、暑いいからといってエアコンの設定温度を下げるというような日本と
は事情が異なっているということもわからずに論じているようで、他の議論と同様怪しい
根拠によった話だった。
 保険会社AXAのClaude Bebear が作ったシンクタンクであるモンテーニュ研究所で
再生可能エネルギーについての論議がなされており、これでフランスでの議論の一端を
知ることができる。ここでは地球温暖化についての二酸化炭素起源説についての疑問や
風力発電より太陽光発電の固定価格買取制度の優位性が主張されているが、やはり原発
コスト的に自然エネルギーより価格、安定性ともに優れているという現在のフランスの
主張がある。福島第一原発事故の救済で有名になり、この間サルコジ大統領にクビにされた
アレバ社のロヴェルジョン女史も登場している。

http://www.institutmontaigne.org/desideespourdemain/index.php/Energie_Developpement_durable