鷲巣力の新刊

久しぶりに池袋ジュンク堂へ。駅構内はまだ節電で暗い。
こんなことをいつまでもやっていると不景気風が飛ばない。

加藤周一を読む」 鷲巣力 岩波書店
 自選集の解説をベースに分量を3倍としたもの。
文体まで加藤周一の影響を受けている。大量に読めば、影響は
避けがたい。

 山本義隆のみすず原発ものはもともと雑誌「みすず」に載る
予定のものを分量が多かったので、単行本化したもの。
 あまり新知見はない。もう原発について新しいことを言うのは
むずかしいだろう。
 昨日の夜中のNHKドキュメンタリで独仏国境にある老朽化した
フランス原発のリスク論議がおもしろかった。活断層が近くにあって
14世紀には巨大地震がおこり、近くのバーゼルが壊滅的な破壊を
受けたらしい。
 ドイツ人がドイツ語で原発を語ると、音とリズムで危険なものに
思えてくるのに、フランス語で聞くとなんだか危機感が薄れて
しまうのは私だけか。

http://www.lemonde.fr/planete/article/2011/09/16/50-de-nucleaire-en-2025-un-scenario-a-l-etude-selon-besson_1573620_3244.html
ありゃりゃ、フランスまで2025年まで原発半減とか言い出した。

西川長夫さんの平凡社新書68年本に、森有正加藤周一についての
記載があるが、先週の新聞書評でないほうが良い、といっている
人がいたので、そこだけ立ち読み。
 森有正ソルボンヌ大学近くのカフェで、西川に加藤周一の悪口を
長々といっていたというのに驚いた。
 西川が、森や加藤が晩年に日本回帰したのではないか、という論に
ついては考えてみる価値はある。ここでいっているのは西洋的な
文明に疑問を抱いて日本を再評価し出した、という程度の話ではあるが。