加藤周一と核

加藤周一は、医者として1945年8月6日の原爆投下から
1ヶ月後に患者の治療のために広島に入っている。
20世紀に積み残した課題として核エネルギーについて
「1930年代の終りに核分裂がわかった。そうすると、
物理学者は圧倒的に強大なエネルギーが核のなかに
入っていること、そしてそれが原則として解放される
ことがあり得ることを知るようになったのです。
それは、第二次大戦が起る前です。それが爆弾になり
原子炉になった。」
「核エネルギーの問題は先延しです。先に行っても
安全だから使っているのではなく、先になったとき
われわれは死んでしまうから、後は野となれ山となれと
いうことです。核エネルギー政策というのはそういう
ものです。あと10年や20年は大丈夫、つまりわれわれの
生きているうちは大丈夫だと、賛成する専門家たちは
いっているのです。しかし、われわれが死んだ後どう
なるかの保障は何もない、どうなるかわからない。」
(「20世紀はどういう時代か」1993年)