女の立小便考

論文の原題は「立念 居毛曾念」「饗宴のはじまり 西洋古典の世界から」所収
 中務哲郎 (岩波書店2003年)
1977年に同人誌に発表された文章が同書の最後に収められている。
「このように女の立小便の美風は現在尚完全に消滅してしまったわけではないが、
急速に衰えつつあることは認めざるをえないであろう。その理由として考えられる
のは、まず何よりも女がズロースを穿くようになったこと、次いでしゃがみ便器の
普及、そして羞恥心であるが、昔より今の女の方が慎みぶかいなどとは誰にも
信じられないから、これは理由にならない。むしろコツさえのみこめば出来る
ようになるというこのスタイルを、何事にもあれ修練に能耐えず易きに流れる
今日びの女性が敬遠しているからだと考えるべきではなかろうか。」
 著者(京都大学文学部教授)はこのテーマを追求するにあたり、わが南方熊楠
もちろんフランス映画「イマージュ」のマリー・メンダムの浴槽でのそのシーンまで
触れている。