小田実が間違ったこと

NHKで昨年12月に放送された小田実晩年のドキュメンタリーの再放送を昨晩やっていた。「何でもみてやろう」は田舎の高校生に、自由に世界へ羽立つことが可能であることを教えてくれた。外国人なんてまったっく身近にいない北陸の高校生が、東大とハーバードでギリシャ文学を勉強した若者が、こんなに軽々と世界とかかわっていく、その姿に心底あこがれたものだ。鶴見俊輔とべ平連のオルガナイザーとして、国家に立ち向かっていくのにも未来への可能性を信じさせてくれた。
 だが・・・・。生ける共産主義との付き合い方を間違った。北ベトナムが単に民衆の善意からできている国家でもないし、ましてや北朝鮮が小田のいうように過去の日本の悪行があるからといって国家体制が肯定できるものではないのはいうまでもないことだ。小田実の仕事を出版物でまとめる企画があるならば、必ずや彼が誤った文章を残らずまとめてほしい。できれば公表された文章をすべて集めた言葉の真の意味の全集で。それをもとに若い人が伝記を書いてほしい。