高田里惠子の『学歴・階級・軍隊−高学歴兵士たちの憂鬱な日常』

■高田さんの第三弾(中公新書)。いよいよ筆法鋭くわが日本国の男社会の馬鹿振りをばっさりと。男性論客がだらしがないのが多いので、一層気持ちがよい。丸山真男なんざは格好の相手。学生時代から我々男子学生に対して冷たい眼でみていた彼女が忘れられない。それでも「文学における病」における中野孝次の彼の出自を無視した評価は冷たすぎますよ。
■高田さんといえば彼女が東大独文の大学院試験の面接の時、柴田翔から「リルケのフルネームを答えよ」という質問があったと当時聞いた。ドストエフスキーを知らない文系大学院生(石田英敬による)や、プルーストを人名と思わない東大生(野崎歓による)が最近話題になったが、この頃から柴田先生は学力低下を心配していたのかな。