Bernard Pivotのために

Bernard Pivot
1935年リヨン生まれ、フィガロ紙の記者等をつとめたあと、1975年創刊の読書人向け雑誌
「Lire」の創刊に携わっており、これを気にテレビでも活躍することになった。
その後、以下のテレビでの書評番組をやっている。大体金曜日の夜に放送され、翌日には
その番組で取り上げられた本がFNACあたりでベストセラーになるという傾向があった。
日本のNHKの書評番組とは社会的なインパクトが格段に異なる。これもひとえに司会者である
Pivotの采配にあると小生はみた。
①Apostrophes 1975-1986
 WK英文版本文では90年までとなっている。
②Bouillon de culture 1991-2001
 Questionaire de Proust を放送の終わりのところでゲストに対してやっていた。
 小生は今番組をブラジルにいた時にケーブルテレビで見ていた。
③Double je(2002-2005)
  この番組は知らない。
 
もともとフランスへ留学するような人は日本でもテレビをあまり見ない人が多いだろうから、
フランスのテレビ番組について紹介や論評をする人はほとんどいない。
フランス現代思想の難しい内容や古典文学の研究者で、「ブルバール・シャンゼリゼ」に
出てくる歌手やゲストのことを知っている人がどれだけいるだろう。


フランスのテレビ局はチャンネルも番組自体も少なく、なんでこのマスメディアの
時代にテレビに背を向け続けるのだろう、と不思議に思わざるをえないのだが、まれに
見るべき番組もある。それがPivotがやっていた週末の書評番組である。小生は86年に
Susan Sontagがこの番組に呼ばれて出て、フランス語(もちろん米語なまりだが)で
討論しているのを見て、おぅと思ったことがある。

フランスで全国規模で実施する書き取り番組の司会者でもあった。
2004年にはアカデミー・ゴンクールに選ばれているが、作家以外で最初のメンバーとなった。

 「アクタースタジオの中で」のジェイムズ・リプトンはピボに影響を受けてこの番組を
はじめたらしい。彼はピボの過去の番組を吹き替えでアメリカで放送しようとしているらしい。


同じ俳優出身の日本の児玉某よりも才気走った感じでてきぱきとその場その場を裁いて、決して
ゲストに押されるようなことは無かった記憶がある。というより、児玉はこのピボを真似している
のではないかという気もする。

TF1でも同様な書評番組をやっているが、こういう書評・文化番組というのはフランスだけかと
思ったが、ドイツでもあって、そのことを書いていた人が例のナチズムについてのGoldhagen論争での
舞台がその番組であったことを書いている人がいたが、誰だか忘れてしまった。
 いずれにしてもテレビで大人が文化についてまともに論争するという雰囲気が西欧にはあると
いうことだろう。