エリアーデの恋人

ミルチャ・エリアーデベンガル時代の恋人が後に回想を書いていることを
初めて知った。ヒュー・グラント主演の「ベンガルの夜」はまだDVD化
されていないらしい。
http://kbaba.asablo.jp/blog/2009/11/

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石原慎太郎が今フジテレビで日本を代表する論客といっているのはこの人。
こんな経済学者がいる事を知らなかった。鳩山政権の経済政策がない、という
のはそのとおりであるが、「それなら市原さん、経済学者なら具体的処方を示せ」と
いわれるとこの人も無い、という意味では鳩山的である。
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100326/plc1003260323001-n1.htm

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1930年生まれの数学者志村五郎の回想録「鳥のように」(筑摩書房)を本屋で読んできた。
特に丸山真男とのつきあいの思い出が面白い。世界的な数学者志村先生の前でその
教養を試される丸山氏。
・不思議なことにプリンストン大学へ来ていた時に志村邸で饗された蟹の食べ方がわからない
 といったこと。
南原繁漢籍にも通じている、と盛んに丸山が評価していたが、それこそ漢籍
 通じておられるらしい志村氏にしてみれば、何でそんな評価の仕方をするのか、
 不明に思ったこと。 
・志村氏が三浦梅園について興味をもっていたので、丸山に意見を求めたら返事が
 なかった。」
・丸山書簡集第二巻53ページに志村氏の悪口を書いてある書簡が載っているらしい。
・丸山発言におけるいくつかの間違いについて
  「春秋の筆法」の誤用、さらには丸山が「春秋」はもとより「春秋左氏伝」も
  みたことはないのでないか、という指摘あり。福沢だって繰り返し呼んだはずと。
   また、フランスで「ヴァカンス」といっても通じず、「ヴァーカンス」と発音
  しなければだめだ、と丸山真男手帳の会の記録にあるそうだ。ただし、志村氏は辞書を
  見てみろ、といっているが、これは単に編集者が「ヴァカーンス」と丸山氏が
  いったのを誤記したのではないかと思うがどうだろう。
モーツアルト論で誰がいいか、聞いたところ大した回答が無かった。「小林秀雄には
 オペラ論がないからだめ」とかいっていたらしい。
・丸山の音楽の受容範囲が狭いことを指摘し、中野幹雄「音楽との対話」もその狭さから
 息苦しい書物となっていること。
朝鮮戦争における北側からの侵略について、丸山が歴史事実に基づかない議論をしていると
 いう。ただし、この部分で引用された発言にしては丸山から読み違えている、という反論も
 出てきそう。(丸山に共産主義幻想があれば、志村氏のいうとおりだが)
 また、埴谷雄高がシベリア抑留の悪環境について否定したことも水谷公三の丸山論をもとに
 指摘。総じて戦後の親共産主義国家であった知識人に対して志村氏は厳しい。(当然だが)
・丸山が加藤周一を評価していることに対しての疑問。例えば加藤が安保に反対すれば
 出世するといっていたが、反対したことでどれだけ多くの人間が出世したか、と
 丸山に問うたら渋い顔をしていたらしい。

しかし、武満徹が晩年になってはじめてモーツアルトのシンフォにア・コンチェルタンテを
知って1週間くらいショックから抜け出せなかったと書いているというのは本当だろうか。
武満全集を図書館で見てこなければならなくなった。(どなたかどこに出ているのか教えて
ください。)
 志村氏は丸山の秀才にありがちな思い込みを指摘しているが、志村氏自信にもその傾向は
ないのか、それが気になった。丸山真男との思い出以外にも面白そうなエピソード満載のようである。