読むと書く

井筒俊彦「読むと書く」(慶応義塾大学出版会)のp442
雑誌みすずの1981年アンケートで中沢新一「虹の階梯」を挙げている。
「・・・この方面の仕事は、ともすれば通俗的オカルティズムに堕しやすく、
学問的で、しかも実践道に直結するような書物はなかなか現れない。
自らチベット仏教ニンマ派の修行僧となり、密教的体験を深めながら、
さらにその体験の成果を実に見事な学問的形で分析することに成功した
若き日本の思想家の作品として、本書の意義はまことに大きい。」

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志村五郎「記憶の切絵図」(筑摩書房)p116
「ずっと後に政治学者・評論家のM氏と親しくなった。つまらない人では
なかったが、彼はそんな本に読みふけった生意気な旧制高校生がそのまま
おとなになったような面を多分に持ち合わせていて、その上私から見ると
隙だらけであった。」
 このM氏は丸山真男であることが、この本の続編でわかることになる。

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マリア・ユージナのモーツアルトピアノ協奏曲23番の演奏をスターリン
レコードで欲しがった話が丸谷才一の「軽いつづら」に出てくる。
丸谷はホロクィストのバフーチン論から引用しているが、元は
「ショスターコビッチの証言」であろう。このレコードは少なくとも
彼女の演奏ではあったようである。

http://08268016.at.webry.info/200805/article_1.html