勘違い

今朝の読売新聞の書評蘭に、今道友信の著作「わが哲学を語る」が出ている。
 担当は論説委員橋本五郎。今道といっても余程の哲学おたくでもない
限り知っていることはいないので、一般紙に書評が出ること自体が珍しい。
今道がまだ若い時で貧しい時にパリの行きつけのレストランで、いつも
プレーンオムレツしか注文しないので、気の毒に思った経営者の親子が
二人分のパンを与え、他の客と間違ったといってオニオングラタンを
与える記述を紹介し、苦学生ヒューマニズムに触れて、その後思想まで
そうなったような構図を提出している。
 この話が変だと思ったのは、日本のフランス料理屋と異なって、パンなんぞ
もっとくれといえばいくらでもくれるのであり、何度も同じ店に通えば、以下に
気難しそうな東洋人の今道にだって多少は顔見知りになって多少のサービスが
あるというのは別に美談に仕立てるようなものではないのである。
 日本の高級フランス料理屋のように、パンの追加を頼むのにも遠慮がちで
お願いしなければならないものでもないし、付き合いにくいフランス人だと
いっても日常的につきあっていれば世界中そうであるように情が通じるもの
なのである。

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毎日新聞の書評欄に新潮社「考える人」はユニクロをスポンサーにして発刊
されているとあった。確かに毎回ユニクロの広告は多く、こんな地味な
雑誌が商業的に成り立つのか、不思議であったが、これで謎が解けた。

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NHKのドラマ「セカンドバージン」。脚本は大石静
新海社なる年間300冊出版する出版社の専務である編集者(鈴木京香)が
金融庁の元キャリアとの恋愛関係を描くらしい。
 金融庁の局長がここに出てくるような高級マンションに住んでいるのは、
まあ金持ちのご子息もいないわけではないからありえない話ではないが、
大衆に変なイメージを植え付けてしまうだろうな。記者会見でいきなり課長補佐
クラスが説明をはじめるのもなあ。
出版社がベストセラービジネスになっているのも確かだが、印税1億の話ばかり
というのも。独身の鈴木京香が住んでいる1軒屋も、出版業界の人間からいえば
遠い世界。
大河ドラマにおける歴史考証のお粗末さもそうだが、国営テレビが金融庁
出版会のおかしなイメージをばら撒くのはやめてほしい。
http://www.nhk.or.jp/drama/secondvirgin/html_sv_mid.html
40代へ向けてのドラマだそうだが、テレビのこととはいえ、こんな文章を
ならべるべきではないだろう。

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猫猫先生の新刊「現代文学論争」にidiot savantイディオ・サヴァン症候群という
のが出てきたが、やはり最近ではサヴァン症候群と呼ばれるのが慣用らしい。
校正の人が気付かなかったか、あるいは猫猫先生がこの表記にこだわったか。