事実の重み

こんな報道があった。こういう事実を調べて報道するのがメディアの仕事。
「東電の不作為は犯罪的」IAEA元事務次長一問一答
2011.6.11 20:22
http://sankei.jp.msn.com/world/news/110611/erp11061120230007-n1.htm
 −−福島第1原子力発電所事故で日本政府がIAEAに事故に関する調査報告書を提出したが
 「私は事故後の対応について日本政府や東電を批判するつもりはないが、両者が事故前に対策を
取らなかったことは深刻だ。特に、東電の不作為はほとんど犯罪的だ」

 −−なぜ、そう思うのか
 「福島第1原発の米ゼネラル・エレクトリック(GE)製沸騰水型原子炉マーク1型は
圧力容器と格納容器が近接しており、水素ガスが発生すれば圧力が急激に高まる危険性が
1970年代から指摘されていた。福島で原発の建屋はクリスマスプレゼントの箱のように
簡単に壊れたが、スイスでは90年代に格納容器も建屋も二重するなど水素ガス爆発防止策
を強化した」

 −−東電はどうしたのか
 「当時、スイスで原発コンサルティング会社を経営していた私はこの作業にかかわっており、
マーク1型を使用する日本にも役立つと考えた。1992年ごろ、東電を訪れ、(1)格納
容器と建屋の強化(2)電源と水源の多様化(3)水素再結合器の設置(4)排気口への
フィルター設置−を提案した」
 −−対策費は

 「非常用の送電線は2千〜3千ドル。排気口のフィルターは放射性物質を水で吸着する
仕組みで電源を必要とせず、放射性物質の拡散を100分の1に減らせる。今回の震災でも
放射性物質の拡散を心配せずに建屋内の水素ガスを排出できたはずだ。費用は300万〜
500万ドルで済む」
 −−東電の対応は
 「東電は巨大で、すべてを知っていると思い込んでいた。神様のように尊大に振舞った。
東電が原子力安全規制当局に提出していた資料には不正が加えられていた。これは東電が
招いた事故だ」
(ロンドン 木村正人)

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原発の3ヶ月前のナオミ・クラインのリスク論
「リスク中毒」「リスクに溺れて」とか訳すのだろうか。メキシコ湾のBP石油事故の
重大さについての感覚が日本人には薄い。石油を掘るのも、金融商品をつくるのも
技術だが、リスク対策をしっかりやらずにやっていることが問題。人間の認識力には
限度があるのだが、リスクが巨大化していくと、一旦事故が起きると収拾できなくなる。
http://www.ted.com/talks/naomi_klein_addicted_to_risk.html

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ヌーベルオブに出ていたというフランスの原発発電事情。いくつか数字がおかしい
が、それでも日本と同様苦しい様子がうかがえる。
http://franceneko.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/62-a765.html#more

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フランスの財務大臣で今IMFの専務理事の候補になっているクリスチーヌ・ラガルド
女史がアメリカのトーク番組に出た時のもの。サブプライムの後であるが、全く
動じたところがないのが立派。この人がどういう人かの一端がわかった。
http://www.rue89japon.com/?p=2436