光市母子殺害事件死刑判決

私は基本的に死刑廃止であるが、例外として、被害者感情等によっては残すべきと思っている。
だが、今回の件は以下の二つの意見を読んだだけでも、これで審理がつくされたとはおもえないだろう。
簡単に18歳で線引きをするのは行政官の発想で、死刑ありきとしか思えないが、死刑ならばさらに
理屈が必要と思う。
◇多数意見予想通り−−前田雅英首都大学東京法科大学院教授(刑法)の話
反対意見が付いたのは意外だが、精神的成熟度が18歳を相当程度下回っている場合には
死刑回避の事情となるというのは具体的根拠を欠き、補足意見の方が説得力があるように思われる。

◇「なぜ死刑」分からず−−本庄武・一橋大大学院准教授(刑事法)の話
 第1次上告審判決は「死刑を回避するに足りる特に酌量すべき事情が認められない」と高裁に
差し戻したが、今回の判決は元少年の「特に酌量すべき事情」の有無がどう検討されたかが具体的に
書かれていない。なぜ死刑になるのか分からず、肩すかしの判決だ。また補足意見は「18歳程度の
精神的成熟度を判断する客観的基準はない」としたが、実質的に見て成人より精神的成熟度が劣って
いるかが問題であるから、この点も的外れと言える。