このデモは反原発以上だ

じっとりと汗ばむ梅雨空の下をようやく帰宅。ツイッターから
IWJのサイトから9画面で首相官邸前のデモが中継されているのを
みる。息子から「そんなものを見ているだけじゃ似非反原発だろ」
といわれ、反省して参加することにする。パリならば一度帰った
あと8時半からのコンサートや芝居へ行くというのは当たり前だが
わが極東の貧困国では一度帰ってからさらに社会活動をするという
のはきつい。
 丸の内線で国会議事堂前駅へ。19時。デモもすでにはじまって
から1時間経過している。同じ電車の車両から降りたのは3名だけ、
どうやらデモへ皆さん参加されるようだ。階段でこれもデモへ参加
する大学生らしい若者二人に追い抜かれる。駅構内は行き先が警官で
規制され、地上への出口は4番のみ。地上へ出る前に駅の建物配置図
で場所を確認する。近くにいる警官がご親切にもお勧めコースを
教えてくれる。
 地上へ出ると左へ行けば首相官邸なのだが、規制されて右側の
方向へしか進めない。まあ、遅れてきたので列の最後尾でもしようが
ないか、とあきらめ、右折して直進。車道側には5列くらいで
びっしり官邸へ向けてデモの列。暑いので熱気とともに汗臭いこと。
その直進の列も最後には右側の坂へ誘導され、途中でこのままいくと
戻れなくなるよ、と警告してくれる人がおり、急いで戻ってデモの
最後尾に並ぶ。最初は特に声も無くおとなしく並んでいたが、
元気な女性が発声をし始めてから一気にシュプレヒコールがあがった。
 警察は道の端へデモの列を寄せようとするが、デモは道いっぱいに
広がろうとする。機動隊の幹部らしき警官が若い部下に大声で
「しっかりやらんとけが人がでるぞ!」と叱咤している。
 若い警官はマイクで警察の指示に従ってください、と気持ちの
悪いくらい丁寧な言葉遣いで叫んでいるが、デモ隊の声に消されて
しまう。
 参加している人は年齢的にはそれこそ老いも若きも、である。
男性は誠に失礼ながら経済的に裕福とは思えない層が多そうだ。
確かに資産持ちはこんなところで暑いのに声を挙げたりしそうもない。
非正規雇用、失業者、フリーター、それこそ数年前に反貧困運動の際に
出現した人々はもちろん抗議の場所も無いので参加している。
 だが、それだけではこの不景気であえいでいる庶民層ということに
なるのだが、加えてリタイアした老人(男女を問わず)、女性(年齢を
問わず)が参加しおり、特に後者は進歩的?なエコロジストだけで
なく普通の主婦や若い、しかも美形の女性が多く参加していること
であって、なかには思わず見とれてしまう女性も少なからずいた。
 別にスケベ根性でデモに参加しているわけではないが、むさ苦しい
親父ばかりよりよほど気勢があがるというものだ。
政府も貧困層が不満を漏らしているだけならば痛くも痒くもないだろうが、
これほど幅広い国民基盤の層が参加しているとうかうかしておれないだろう。
 さすがにその場でたち続けるだけのデモを1時間もやると老人には
こたえ、警察のご指導による「本日は8時まで」のとおり、この時間で
失礼した。