月の裏側

「月の裏側」日本文化の視覚 クロード・レヴィ・ストロース
著者の勘違いや、理解の浅さが訳者に指摘されている部分が興味深い。
・能の中の労働についての表現が、渡辺守章が限定的に説明したことを
拡大解釈して説明している。(月の隠れた面)
・西洋と日本を比較する時「遠心と求心」との対立として、「主語を
終わりに置く日本語の構造から鋸や鉋の使い方、陶工の轆轤の回し方、
針の糸の通し方、縫い方などの手仕事まで多岐にわたり、日本の職人は、
西洋の職人とは逆の動きを好むのだ。」(仙涯 世界を甘受する芸術)
としているが、訳者はこのように日本人の慣行についての初歩的誤認は
チェンパレンの「日本事物誌」の記述と日本での限られた見聞を過度に
一般化していることに由来している、としている。
・「日本の女性は、針に糸を通すのではなく、糸に針を通す。また、
着物の上で針を走らせるのではなくて、針をじっと持ったままで、着物を
走らせる。」上記と同様