黒田寛一とこぶし書房

池袋リブロにて「黒田寛一没後2周年」で、こぶし書房のフェアをやっている。しかし今時こんな図書館で死蔵されているような売れない本を出し続けるなんて奇跡に近い。近所の図書館にもこの書店の本が入っていたりするので、それなりに売れているのか。反スターリンはいいのだが、こんな「社会科学」の本が売れて、それを論じていた時期がかつてあったなんて今となっては、それだけでも不思議な気がする。広松渉の弟子である熊野純彦批判を晩年に黒田が書いていたらしいが、批判された方も驚いたろう。それぞれの時期に著者たちが真剣に取り組んだこれらの書物を見て、人は一生をどんなことにでも費やすことができるという、考えてみればぞっとする事実に気づく。人は死んでも書物は読者がいる限り残るが。