ブレンデル最後のコンサート

日本ではあまり報道されていないような気がするが、ついに12月18日にウィーンのムージックフェラインでブレンデル最後のコンサートがあった。
77歳。オケはもちろんウィーンフィルで、指揮はC.マッケラス。モーツアルトピアノ協奏曲9番。吉田秀和さんが「レコード芸術」に書いておられたように、小生も最近のブレンデルには興味が薄れつつあったが。87年にパリ・サルプレイエルでシューべルトのソナタを聴いた時は本当にすごい
ピアニストだと思った。会場はただでさえ香水で匂っているのに、ピアノの音が本当に甘く透明な色と香りを振りまいている錯覚にとらわれたものだ。しかしながら、この時のイメージが強すぎるせいか、その後出はじめたシューベルトモーツアルトの録音CDにはそれほど関心しなくなってしまった。数年前にオペラシティでモーツアルトのピアノ協奏曲室内楽版を演奏した時に聞きにいったのが、最後のライブ演奏にふれた機会であったが、この時もあまり感心せず。
 あまり関係ないが、この時は日本を代表する生命保険会社の社長が聴衆の中にいて、この人はそうだと教えてもらわなければ大保険会社社長とは誰も思わない外見の方でもあるのだが、大企業のお偉いさんを集めて接待をしていた。休憩時間に、若い大柄の社員二人に身を守られているこの社長さんのところに「お客さん夫婦」連(じいさんばあさん)が演奏会へご招待の御礼に来ていた。社長さんは「70年代からブレンデルのファン」であったらしい。会場の一番奥の私の席の前にこの会社のバッジをつけた社員が二人おり、コンサートが終わり近くになると早々と社長さんの面倒でもみるためか、演奏のまだ途中でバタバタといなくなってしまった。ブレンデルに罪はないが、この時以来、急にブレンデルまで嫌いになってしまった。
 ウィーンのこの最後のコンサートのライブ映像はいつか放送されるのであろうか。
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