学術出版の将来

 先週の読売新聞に政治学者で新潟県立大学学長である猪口孝氏が学術出版を
政府が支援すべきだという論を書いておられた。
 確かにアメリカやイギリスの大学出版会に比べれば日本の体制は貧弱という
印象は強い。学者の業績、特に文科系のものはできるだけ書籍として出版される
事が望ましい。しかし、本当の問題は出版するに値するものがどれだけあるか、
ということが先にあるのではないか。少部数であるから商業的になりたたないので、
世間に出ないということは少なくともネットで「無料Free]公開出来る世の中で
言い訳に過ぎない。本当に必要なものであれば、何百ページであろうとダウンロード
しますよ。まさか、それでは出版して印税が稼げないなどというのではないでしょうね。
 本当に世の中の少数の人でも読んでもらいということであれば、ネットで公開すれば
いいのだ。場合によってはブログでもよい。猫猫先生ではないが、いまどきHPも
ない学者など、もともと発表すべき業績がないのではないか。
現にいくつかの大学の教員紹介HPでは論文を読めるようになっている。
猪口先生は文部省に学術出版の予算を要求する前に、自らが学長を務める大学のHPに
教員の論文をすべて公開すればいいのであって、そのためにサーバーの増強が必要であれば
文部省に予算を要求するがいいのである。新潟県立大学の教員がどのような業績があるのか、
HPではわかりませんので。
http://www.unii.ac.jp/

                                              • -

猫猫先生があげていた島田謹二の娘さんによる思い出の本にこんな値段がついている。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/4907816170/sr=1-14/qid=1268392264/ref=olp_product_details?ie=UTF8&me=&qid=1268392264&sr=1-14&seller=