STATE OF WAR

2005年アルゼンチン映画。1982年のフォークランド紛争
アルゼンチン側から描いた映画。なぜ紛争がはじまったかとか
戦いの経過がはっきり描かれていないのが残念。こんな戦争が
あったことさえ知らない人が多いだろう。劇場公開なしでDVDだけ。
 アルゼンチンの軍事政権が内政の行き詰まりによる国民の不満を
外敵へ向けるためにはじめた占領を、これも政権末期の鉄の女
サッチャーが過剰反応した不幸な戦争。日本と北朝鮮や中国でも
国内の政治状況によってはこういう阿呆な戦争が始まる可能性は
ある。
 映画はマルビナス島というのが不毛な寒冷地にある島で、負け戦さ
を戦わなければならないアルゼンチン軍兵士の姿が中心で、第二次
世界大戦末期の日本軍の惨めさを思い起こさせる。
 近代兵器を使った軍艦とジェット機の派手な戦闘がこんな戦争で
繰り広げられたわけで、その辺の悲惨さも描いてくれればよかった。
 現時点で戦争の傷で自殺者が多いことと絡めて描かれているが、
ブエノスアイレスの暗さ(実際行ってみると暗い街)もよく出ていて
よい。
 まあ、これ以外に今後この戦争をテーマにした映画などは作られない
であろうから、創られただけでも存在価値はある。
2006年にロバートデニーロが主催している映画祭で受賞している。
現タイトルは「火で照らされて」