日銀総裁とKポパー

先だって黒田日銀総裁がKポパーの論文を若き日に翻訳したことを
書いたところだが、宮崎先生のブログをみると「歴史主義の貧困」の
新訳のあとがきに、黒田氏が書いておられることを知った。
http://d.hatena.ne.jp/jmiyaza/20130919/1379605436
「それから「解説」で黒田東彦氏が「近年、ポパーの書が読まれる
ことは少なくなり、その影響力は大きく低下したように見える。
その最大の理由は、1991年にソ連が崩壊し、主要な論敵
だったマルクス主義哲学がほとんど壊滅してしまったことに
ある」というのも疑問。」
私もまた宮崎先生のご意見に賛成する。この日銀総裁は経済論も
そうであるが、極端に単純化する傾向があって不安である。量的緩和
恐る恐るやっているんだよ、ぐらい、それとなく見せるのが、大人と
いうものであるが、いつもK.ポバー並みに直截的なのである。

ポパーは科学哲学者なのであって、「歴史主義の貧困」とか
「開かれた社会とその敵」などは余技というか手すさびなのだと思う。」
この辺の科学論と哲学の関係は、この間の碧海純一氏の追悼シンポでの
長尾龍一氏が問題にしていたところであって、結局は自然科学的思考に
集約されるのではないか、ということですかね。