ケインズ一般理論の翻訳レベル

また、誤訳論議が巻き起こっているようであるが、小さな辞書ではsensual man 的な意味は
出ていないようだ。
「世俗」という訳語でいいのか、という問題もあるような気がする。
昔、エマソンを英語で読んでよくわからなかったのは、こういうこともあったのかもしれない、
と今回納得した。初学者では気づかない単語の意味があって、文章の意味がそれにかかっている
いる場合はちんぷんかんぷんとなってしまう。
 さて、別の例などは、残念ながら世間ではあまり評判になっていないのが不思議なくらい
なのだが。日本の経済学者があやしいレベルの人たち、というのも、ケインズの主著の翻訳水準
がこの程度であることからわかるというもの。学生時代にこの高名な「一般理論」を塩野谷祐一訳で
読んで、ケインズという人は随分持って回った言い方をする人だな、と思ったものだが、何のことは
ない、よく分からなかった理由が、訳者もよくわからずに翻訳しているから、ということが
ようやくわかった。全国の大学の経済学部の先生方よ、悪訳で読んでもわからないことを授業の
最初にちゃんと学生に説明せよ。
 以下の論文くらいに痛烈でなくてもよいが。
http://dlwww.dl.saga-u.ac.jp/contents/mgzn/ZR00006249/ZR00006249.pdf
http://dlwww.dl.saga-u.ac.jp/contents/mgzn/ZR00005454/ZR00005454.pdf
http://homepage3.nifty.com/hon-yaku/tsushin/bn/200803.pdf

あまりにも塩野谷訳がひどいので、間宮陽介が新訳に挑戦したが、米倉さん的にいえば
京都学派のケインズ理解?ということらしい。
http://www003.upp.so-net.ne.jp/ikeda/mamiya.HTML
 ようやく改訳が出たかと思って岩波文庫を書店で手に取り、覗いてみたが、やっぱりダメだ、
とわかったので、この新訳も買っていない。