ヴァレリーの蛇

「若きパルク」を書き始めた1920年ごろからポール・ヴァレリーにとって
蛇が愛好するイメージとなり、カイエの中にもたくさんみられるらしい。
自分の尻尾に噛み付き円形を成したデッサン、鍵にまとわりつく蛇の
デッサンや、女陰の中から蛇が鎌首を持ち上げているデッサンがある
らしい。(清水徹ヴァレリー」)
 この清水著には「鍵に巻き付いた蛇」の版画の図像が掲げられているが
女陰のほうを見たかった。特にこの本がヴァレリーのエロス的感性に
着目して論じていることもあり、一般読者がカイエ・ファクシミリ版を見る
機会などはないのである。「わたしにはよくわからないが、サロンの
性風俗とでも言うべきものも、ヴァレリーの性遍歴にあずかっていただろう。」
とわからずに書いてしまう清水氏や、岩波書店に期待するのではやっぱり無理
かもしれない。