2008-01-01から1年間の記事一覧

鶴見和子と美智子妃

「鶴見和子を語る」(藤原書店)に美智子妃が生前鶴見和子がある国際会議で慰安婦について発言したことを評価していたことが弟の俊輔によって語られている。和子の生前に、何度か単独で美智子妃と語り合ったことがあるらしい。宇治の老人ホームにも訪問したが…

小田実が間違ったこと

NHKで昨年12月に放送された小田実晩年のドキュメンタリーの再放送を昨晩やっていた。「何でもみてやろう」は田舎の高校生に、自由に世界へ羽立つことが可能であることを教えてくれた。外国人なんてまったっく身近にいない北陸の高校生が、東大とハーバード…

栗原裕一郎「<盗作>の文学史」

庄司薫の項で、サリンジャーのまねではないか、とい出だしたのはだれか、という説明で、東京新聞の記事があげられている。だが、確か最初にサリンジャーとの類似を指摘したのは毎日新聞の文藝時評担当の江藤淳だった、というのが小生の記憶であるが・・・思…

杉本秀太郎と井沢義雄

杉本秀太郎「火用心」(編集工房ノア)の「富士の裾野」より。 「井沢義雄という人と知り合って程なく、訪ねてきたこの人と洋間でしばし対座してのち、繁華な街巷に同行することになって家の前を離れたとき、七、八歳年長、播州の産、東大仏文卒、神戸大学のフ…

イスラムのエロス

偶像崇拝禁止でビデオや映像を抑圧するのはわからぬでもない。女性の「顔」を隠し、エロスを抑圧するのも個人の心の安定や社会的な関係づくりから必要だ、というのも想像できる範囲である。 そういうイスラム原理主義的世界があるからこそ女性のエロスに「偶…

心的現象論本論の刊行

雑誌「試行」に連載されていた時、いったいどこへ向かうのか、見通しが悪くてよくわからなかったが、こうして一本となっても全体として何を目指しているのか、私にははっきりしない本である。早くしかるべき人が書評をしてもらいたいが、「言語にとって美と…

富士さんとわたし

山田稔著だが、池袋ジュンク堂で品切れ、Liblosでは検索にもひっかっかってこない。アマゾンでもこの本は検索に出てこない。編集工房ノアは東京では遠い出版社か。Liblosでようやく田川建三「マルコ福音書注解」が並んだが、先に出たパウロ書簡…

芥川賞選考委員

「石原が芥川賞の選考委員になったのは、95年の114回からだ。同時期に、池澤夏樹と宮本も就任している。その時からの受賞者は、川上弘美、柳美里、辻仁成と来る。辻の受賞については、創価学会員の選考委員が土下座して頼んだという説もある。」 「創価学会…

グリーンスパンと論理実証主義

日本経済新聞に連載されたグリーンスパンの自伝に、「当時私は、ある考え方に惹かれていた。経験論の極端な形の一つで、論理実証主義と呼ばれていた。要は、事象を直接観察できなければ、それは存在しない。概念的な土台がないという考え方だ。」(1月8日)え…

高山博「世界史」

NHKの高校講座「世界史」で十字軍の説明を高山博東大教授がやっていた。わずか30分の番組であるが、TVの強みを利用して画像でうまく説明。高山の専門であるシチリア王国がもつ歴史的意味がよくわかった。それにしても今時の大学生だってこれくらい高度…

大丈夫か池袋LIBLOS

■池袋LIBLOS3階はジュンク堂とは異なった社会科学系の本をうまく集めているが、いつも客がいないので行き先が心配だ。キリスト教の棚をみたら出たばかりの田川建三著「マルコ伝」も在庫なし。ジュンク堂で新刊にならんでいない人文社会学系の本もよく…

もっと、狐の書評

筑摩文庫7月新刊、山村修著。まったくの新刊かとおもって読み始めたら、昔読んだ書評が並んでいるので、びっくり。過去の洋泉社版からの抜粋と、若干の追加書評数本の構成であることがわかってがっくり。未収録リストをのせるくらいなら最初からそれで文庫本…

西部邁さん変ですよ

フジテレビで西部さんがコンビニの夜間営業禁止を訴えている。人間の生き方として夜生活しているのはおかしい、ということらしい。学生時代に大石泰彦教授が揶揄していたのを授業で聞いたことがある、もともと経済学者としての素養はあやしいので、あまり経…

ブラジル産鶏肉

小学校の給食の材料として、国産と偽りブラジル産の鶏肉を納入した肉屋が話題になっている。TVのワイドショーで食品アドバイザーとかいう人物が、学校が国産と指定したのは安全の為でしょう、と平気でコメントしていた。ふざけるな。どこにブラジル産がま…

レナード・バーンスタイン メモリアルBOX

ドリームライフのDVD廉価版7枚組を買った。70年代の精悍なバーンスタインは本当に素晴らしい。この後巨匠然としてくるその前のバリバリの時代の映像。画像の質も音の質も悪いものが多いがそれでも記録としての価値は十分。それにしても映像の監督というの…

戸川昌士「古本パンチ」

井上章一の朝日新聞夕刊の紹介で知った本。関西の本とLPの探求者であるが、深いところと浅いところの温度差が激しいが、こんな世界を書ける人も少ない。もっと風俗関係の記録を東西問わず残してもらいたい。HuslerやPlayboyの昔の比較を書く…

NHKドラマ「監査法人」第4回

このドラマの素人っぽいつくりは各方面で指摘されているが、今回のもおかしなところ多かったな。財政監督庁の検査局長が銀行の入検の時に頭取に会いにいくわけないだろう。財政監督庁の「査察」というTV報道や、銀行側の「財政監督庁のガサ入れだ!」とい…

日経ヴェリタスの低レベル

体調不良のため、中断していたが再開。 この日経金融新聞の新バージョンは当初からこんなの誰が読むのか、という話が周囲にあったが、その産経新聞夕刊版とあわせた中身の薄さと程度の悪さに、その先行きが決まったようなものだ。6月8日付けの損保の前期総合…

黒田寛一とこぶし書房

池袋リブロにて「黒田寛一没後2周年」で、こぶし書房のフェアをやっている。しかし今時こんな図書館で死蔵されているような売れない本を出し続けるなんて奇跡に近い。近所の図書館にもこの書店の本が入っていたりするので、それなりに売れているのか。反スタ…

新聞購読やめた

中学生の時から購読していた「新聞購読」をこの5月からやめた。40年来の新聞中毒であるような小生でさえ、購読を中止するのであるから、新聞社も経営大変だろうな。毎日配達される新聞を読むことが人生の一部であったから、かなりの方針転換であるが、不便を…

自衛隊機中国派遣

29日新聞TVが一斉に自衛隊機で援助物資を輸送することを中国政府が要請してきたと報道し、驚いたが、やはり「いかさま」だった。中国政府といっても中国軍の少佐、役所でいえば課長補佐あたりが打診してきたのをそのまま政府の意思として確認もせずに発表…

カリスマ中井久夫

猫猫先生が中井久夫について、カリスマ化されることの危険性を述べておられます。 そもそも精神科の臨床医学がどこまで「科学」なのか、という問題がありますが、そういう学問であるからこそ人文的素養が診療に役に立っているということではないでしょうか。…

大岡昇平と吉本隆明

吉本隆明「情況への発言Ⅲ」が新書版で出ているが、本屋で立ち読みした。当時も岩波本の埴谷雄高=大岡昇平の対談について、吉本が何でこんなに怒るのか、さっぱり理解できなかったが、対談のご両人もいきなり吉本に怒鳴りつけられて、とまどったに違いない。…

丸山真男と庄司薫

丸山真男書簡集6巻(みすず書房)で庄司薫へ出したものが一つもない。丸山生前に庄司は手紙を出しているはずだし、それに対する返答も丸山よりあるはずだが、どうしたことか書簡集には載っていない。個人的な手紙は公にさらさないという庄司の美意識が感じら…

フーコーとパンゲ

「ヨーロッパ哲学には京都学派に対して抵抗があったのだが、それにもかかわらず、日本という環境は、20世紀精神の素晴らしい舞踏のための舞台だった。例えば、ディビッド・メイシーは、フーコーの伝記において、フーコーのかつての愛人で、私も知り合いの、…

村上陽一郎と原発

時ならぬ村上陽一郎批判がネット上で巻き起こっている。これらは古代ギリシャの学問の西洋中世での影響や氏のカトリック理解であったりして、教わることが多い。猫猫先生と異なり、ダメ学生だった私は村上先生の授業に出たことはなかったが、時々ラジオのク…

カラヤン生誕100年

カラヤンの功罪とは何か。功は音楽を大衆化しクラシック音楽を特権階級から開放したこと。罪は音楽の外面的なショービジネスとしたこと。後者の証明は彼がかかわった映像作品をみればすぐわかる。なぜ、このような醜悪な映像を残したのか。権力欲と金銭欲と…

出版社の存在意義

■かつて大江健三郎は文藝春秋社が田中健吾の下で、反公害運動や市民運動を揶揄する香山健一や山本七平とつるんで「進歩派」を揶揄する論調に染まっていた時に芥川賞選考委員を辞任した。その理由は本人は明らかにしていないが、抗議の意を表したものだといわ…

OED到着

先週末OEDが我が家に到着、円高を利用してOxford English Dictionary 20巻を米国の古書店より購入したもの。家に入りきらずマンションの玄関前に2日間置いておいた。700ドルプラス送料1000円。古書といっても新品とかわらずアマゾン日本では112000円で出て…

中国人民開放軍は何故遅れたか?

阪神淡路大震災の時、自衛隊への救援依頼が遅かったという批判があった。その理由のひとつとして社会党村山政権であったためといううがった見方もあった。そもそも国外からの攻撃より、国内災害のリスクが大なのはわかりきったこと。今でも大地震対策より、…